Armadillidium klugii
今ではポピュラーとなった海外産ダンゴムシのモンテネグロダンゴムシですが、その流通名は非常に紛らわしく、最近では『モンテネグロダンゴムシ ギリシャ産』という変わった名称を見かけるようになりました。
そこで本日はモンテネグロダンゴムシについて説明したいと思います。
まず厳密にはモンテネグロダンゴムシという種類はおらず、Armadillidium klugii というダンゴムシのモンテネグロで採集されたものが10年程前に日本に持ち込まれたようです。そして当時謎だらけだった本種を流通する過程でラベルを元にモンテネグロダンゴムシと呼んだ事がキッカケになったようです。
※諸説あり。
しかし、困った事にArmadillidium klugiiは産地ごと色合いに特徴があり、地域変異が親しまれるダンゴムシでした。そのため、後にギリシャ産やドブニロク産のものが日本にも流通するようになった際にその名称は紛らわしいものになってしまいました。
以上のことから我が家では、Armadillidium klugii Dubrovnik といった表記で管理しています。
そして芥子粒より小さな幼体を多産するArmadillidiumの管理には気を遣います。もしメンテナンス中に幼体が混ざってしまえば雑種が生じて産地固有の色合いを失われてしまうからです。
また、地域固有の特徴をより発揮させるために定期的に厳選して選別飼育を行っています。
多産ゆえ、色々と選別しながら飼育していくことも楽しみとなっています。
縁どりの淡い色合いが特徴のArmadillidium klugii Dubrovnik。選別せずに累代飼育を重ねるとモンテネグロ産に似た色合いの個体もよく出現します。
オカダンゴムシの採集から現在
イベントやSNSでも度々販売してきた我が家のオカダンゴムシ。
言わずと知れた身近な生き物であるオカダンゴムシですがその魅力はまだまだ知られていません。
寿命は数年あり、毒もなければ匂いも出さない。工夫次第で小さな容器で腐葉土に頼らず、小蝿の悩みもなく飼えてしまう。
そして彼らの体色は多彩で様々。採集して蒐集する楽しさから始まり、選別しながら累代飼育する面白さ、一度飼えばその魅力は底なし沼な魅惑の奇蟲です。
我が家のオリジナル血統も、その始まりは1匹の持ち腹の雌でした。
そこから累代飼育を重ねて今年で3年目。
そのバリエーションは千紫万紅。
今年は色々と厳選して、更なる探究に勤しむ所存です(^^)
茨城へ変わった色したダンゴムシを探しに行った話
2022.11.29.茨城採集まとめ
朝から悪天予報だった空は、今頃になって雨が降りだした。先程から風も強まり宿の窓硝子を激しく叩きはじめている。
そんな雨音と仲間たちの賑やかな寝息を聴きながら、この旅の発見を誰かに伝えたくて、たまらず筆をとっている。
今回の旅の目的は、何度かSNSでも話題にあがった『茨城県の何処に生息しているらしい綺麗な変わった色したタテジマコシビロダンゴムシ』を見つける事でした。
結果から言ってしまえば、文献を参考に目星をつけた霞ヶ浦周辺のポイントは惨敗で、稀にトウキョウコシビロダンゴムシの生息が確認できたぐらいでした。
そもそも気になる森は全て小さな神社や霊廟、墓地の杜でその独特の雰囲気に押されて引き返してしまっていました。
きっとそんな森に彼らはいたのだろう。
それはこの後、どうしても予感を捨てきれずシイやカシの優占する森を探して移動した先で念願のダンゴムシ達の発見に至ったからです。
叫ぶ仲間の元に駆け寄ると、足元に転がる朽木の裏に沢山のタテジマコシビロダンゴムシがいました。
感無量である。南伊豆で捕れたタテジマコシビロダンゴムシとは明らかに違う。
体長は米粒程の個体がほとんどで5mmをこえた個体は稀でした。それでいて美しい。黄色の縦縞模様が特徴的なダンゴムシです。
それからはあっという間に時間が過ぎました。
流石に悪天予報を危惧して、この日は車中泊を断念。
翌朝は市場で朝食をとり、大満足で帰路につきました。
冬季の給水について
暖房や温室で管理しがちな日本の冬。
特に関東平野は乾燥が酷くて、油断すると30%近くまで湿度が下がるなど、温度以上に苦労されてる方もいるようです。
そんな厳冬期、高温多湿な夏よりも壊滅させやすいダンゴムシにとって危険な季節で、私も何度かやらかしました。
特にSoil飼育は水切れしやすいので、夏以上に気にかけて下さい。
ヤシガラへの霧吹きだけでは、油断するとカラカラになります。
ここで言う油断とは『ちょっと残業が続いて』だとか『家族サービスで』だとか『まだ大丈夫だろう』などなど、私たち飼い主側のちょっとした事情でいつものルーティンな管理がルーズになった時の事です。
その油断でカラカラの干物を作ってしまうのが日本の冬です。
まめに霧吹きと、底面の保水材にも給水する手間を忘れずに。ほんの数ccの水を隅に給水するだけで壊滅を免れます。
そこで役立つのがダイソーなどのコスメコーナーで販売しているシリンジ。霧吹きではヤシガラばかりビショビショにさせてしまい、生体を濡らすリスクなく底まで加水できる便利な道具です。
ただし慣れるまでは一日に1〜3cc程を隅一箇所に止め、翌日まで様子をみましょう。水はジワジワと時間をかけて回るので、加減を覚えるまで気をつけて下さい。